いちリサーチャーの日記

勉強の記録や自分の生活の観察、考えたことなど

Digital Marketing Week 2015に行ってきた②

7月23日(木)にDigital Marketing Week 2015に行ってきたので覚書その②

expo.nikkeibp.co.jp

 

聴講したプログラム

  1. 2500件のオウンドメディア開発実績とAI研究から語る、協創マーケティングの近未来(クロス・マーケティング 岸田氏、大日本印刷 高橋氏)
  2. 5300万人のT会員基盤を活用した、ビッグデータ最前線(CCCマーケティング 伊ケ﨑氏)
  3. アイトラッキング(視線計測)世界的大手。目は口ほどに物を言う~課題解決につながるアイトラッキング活用方法~(トビー・テクノロジー 蜂巣氏)
  4. 日本マーケティング学会連携企画 顧客ロイヤルティ研究~「無印良品」を題材に~(良品計画 奥谷氏、一橋大学 古川氏)
  5. BtoB企業におけるマーケティング課題とは(GEヘルスケアジャパン 飯室氏、ディスコ 小林氏、ベルシステム24 濟木氏、スケダチ 高広氏)

 

各講演メモ

3.アイトラッキング(視線計測)世界的大手。目は口ほどに物を言う~課題解決につながるアイトラッキング活用方法~(トビー・テクノロジー 蜂巣氏)

  • 角膜反射法の普及により、アイトラッキングを使った学術論文は増えている。
  • 角膜反射法は、眼球に赤外線を照射しし眼球の動きを映像解析するもの。誰でも(性・年代・人種。アジアでは眼鏡をかけた人も挑戦中)とれ、精度が高く、対象者が自由に動けるのが利点。
  • 視線データはAIDMAのうち、無意識の領域であるAttention、Interestの測定に活用できる。意識していないことを言葉で聞くのは難しいし、言葉で聞いた無意識はノイズがある。ポジ反応とネガ反応のグループの視線の差分をとるなどしてDMAの要因を探る。
  • ダイドードリンコの事例。「顧客の視線はZ型が動くので基幹商品は左上に置く」というセオリーがあったが視線計測をすると左下が一番見られていた。左下へ移動したことで売上は3割増し。
  • パッケージ評価。食べたい・覚えている・手に取った人がロゴ・キャッチコピー・写真を見たか。定番商品の場合固定ファンが同じ商品だとわかったか。キャラクター商品の場合、選択にどれくらいキャラクターが役立っているか。(キャラクター利用料は高額なので)
  • 駅構内の広告サイネージ。距離に応じてサイネージを見たか・どう思ったかなど相場を決める係数として活用。
  • TVCMの評価。視線と離脱の相関性。どのシーンで離脱したかだけでなく、何を見て離脱したかがわかる。異性の顔のアップなど。また、視線が分散していると良くないので商品が出てくるタイミングの見直しなど。
  • 製品コンセプト評価。何を重視しているか、していないか。コレスポンディング分析にかける。
  • WEBサイトなど、エリア区分を任意に設定し、そのエリアにどれくらいいたかのヒートマップが作れる。
  • 生理計測を使ったリサーチは注目されているが、その中でアイトラッキングは歴史が長く、技術的にもこなれている。

 

感想

  • 自分が聞いたプログラムの中で最もおもしろかった。どういうもので、何ができて何ができなくて、何に役に立つかがわかりやすかった。
  • アイトラッキングを使ってるよ、という方に話を聞いたところCM評価で使っていることが多いとのこと。ただ今回紹介の事例から判断すると、タイミング調整には使えそうだけど、クリエイティブ評価に使えるかは疑問だなぁと思った。
  • 自分の業務の何に使えるか考えた結果、店舗での視線計測はできたらおもしろそうだなぁと思った。実現性は低い気もするけど。

 

4.日本マーケティング学会連携企画 顧客ロイヤルティ研究~「無印良品」を題材に~(良品計画 奥谷氏、一橋大学 古川氏)

  • 顧客ロイヤリティを高める重要性は教科書で謳われているが、どうすればロイヤリティが高まるかは示されていない。
  • ロイヤリティを生み出すためには”感動を生み出す人たち”を考えなくてはならない。
  • 作り手と使い手の構造が変化すると生み出される価値が変化する。(cf.職商人、機械制工業、情報社会)SNSの発達等により、企業側が「ただの相手」から「友人」へと関係性が変わった。期待値が高まる一方で、実際に顧客に対応するのは「従業員」である(真実の姿)。
  • MUJIpassportについて。ネットストアでの購買は当たり前。売上の9割を占める店舗への送客にどう貢献するかがMUJIのテーマ。顧客時間を活性化させるこに主眼を置いている。
  • MUJIは購買チャネルがほぼ無印良品に限定されているので分析しやすい。
  • 売れているものが誰に売れているのかが重要。MUJIではメインのターゲットである30~40代の女性に売れているのであれば問題ない。そうでない時はあまりよくない。
  • CCCのような膨大なデータベースとオウンドデータベースを一緒にして考えることはあるか?→やりだしたらキリがなくもっとデータが欲しくなる。限られた情報でいかに意思決定するかが大事。現場で何が起こっているか体感が無いと分析できないし、質の悪い大量のデータよりも質が良いデータ。
  • 人工知能についてどう思うか?→やれる範囲を気持ち悪くない範囲に抑えるべき。機械は何が理由でその結果が出たのかは教えてくれない。カスターマージャーニーを人工知能がかいてくれ、「こういうマーケティングをしたら○%の確率で○%売上が上がる」という提案をしてくれるなら良いと思う。

 

感想

  • 古川氏の技術進化等の機能の変化と作り手と使い手の構造変化の話がおもしろかった。古川氏は学術側の方としてきていたけれど、新しいものへの期待も高いのかなと思い興味を持ったので、著作やWEBでの情報発信がないか調べてみたい。
  • 無印良品について、チャネルが単一でほぼ全て把握できるといういうのはかなり特徴的だよなと思った。
  • コアターゲット以外に売れている時はあまり良い状況ではないという解釈は、おそらくこれまでの分析からの知見なのだろうけど驚いた。他の会社でもどのような商品だったら当てはまるだろうか?
  • ビッグデータよりスモール&スマートデータとか、体感が無いと分析できないよというのは同感。

 

5.BtoB企業におけるマーケティング課題とは(GEヘルスケアジャパン 飯室氏、ディスコ 小林氏、ベルシステム24 濟木氏、スケダチ 高広氏)

このプログラムは後ろ1時間だけ聞いたのと、ターゲットが明らかにBtoB企業の中の人だったので印象に残った部分を簡単に。

  • コーポレートサイトの中でマーケティングをするのはあきらめた方が良い。ただ、現状トラフィックがあるなら導線誘導はできる。現状のインバウンドトラフィックはどののどのような質か?
  • 営業にサイトから来た見込客を渡すが動いてくれないというのは、1年目によくおこる現象。どの程度の案件で営業を動かすかは明確に定義しておくべき。1,700件から20件に絞ってようやく動くくらい。追ってくれるかは渡すものの質。
  • 営業を投入すべき顧客は、既存・大口で之からも売上が見こめる顧客ではないか。
  • 日本の営業はこれまで100%引合。マーケティングが作った引合が5%も入ることはない。うまく回っても20~25%が限度。
  • インサイドセールスを営業キャリアのトップに置いた方がよいのではないか。ベテランが社内にいた方が周囲に支持もでき、またベテランの方が電話のみで状況把握がしやすい。
  • お客様が残すデジタルな情報を活用するのがデジタルマーケティング。企業側がデジタルなツールを使うことを指すのではない。

感想

  • 「営業が動いてくれない」はスタッフあるあるなのかなと思った。ただ、自分としてはそう言っている人は営業の仕事感がわかっていないのでは?という印象が強い。一番コストがかかる「人を使った営業」をどこに充てるのかは、もっと上位の経営寄りの課題ではないかと思う。

 

雑感

  • 初めて参加したけれど、活きた事例が聞けておもしろかった。ただ、プログラムにより当たりはずれがあるので、来年参加するとしたらもう少し情報収集に時間をかけたい。
  • 釣りタイトルみたいなのは辞めてほしい。
  • 会場はMacBookAir率高め。講義録を作っている人が多くて、PC持ち込みは便利そうだと思った。ミニノートが欲しいなぁ。
  • 誰か他にも感想など上げてくれている人がいることを期待。ただ書いてみて分かったけど結構大変ですね。