いちリサーチャーの日記

勉強の記録や自分の生活の観察、考えたことなど

その商品はどこに置かれるか〜KAGOME GREENSの事例から考える〜

夏頃、地下鉄のトレインチャンネルで見て気になっていた商品がありました。

 
カゴメ株式会社(社長:寺田直行、本社:愛知県名古屋市)は、「新しい鮮度との出会い」をコンセプトとした新ジャンルの“生鮮飲料”「GREENS(グリーンズ)」を、2015年9月29日(火)より1都3県のコンビニエンスストア、2015年11月中旬より1都3県のスーパーマーケット等にて新発売いたします。
昨今、ジュースバーや手作りジュースなど、素材の鮮度が感じられる飲料が求められています。そこで当社は、社内プロジェクトである「Fresh Innovation Challenge Project(フレッシュ・イノベーション・チャレンジ・プロジェクト)」を立ち上げ、“生鮮飲料”という新ジャンルの飲料『GREENS』を開発いたしました。
『GREENS』は、当社独自の低温あらごし製法でつくった野菜・果実ミックス飲料で、野菜が持つ色・香り・食感を活かした素材本来の味わいをお楽しみ頂ける飲料です。
残念ながらCM動画は見つからなかったのですが、たくさんの野菜が寄りで映されていてシズル感があって良い感じだったのです。
 
飲みたいなぁと思っていたのですが、普段利用しているセブンイレブンではなかなか見つからず、限定販売だし取り扱っていないのかなぁと思っていたら、たまたま寄ったFamily Martで見つけました。(商品はつぶつぶ感もあり、甘すぎずおいしかったです。)
 
その後、いつものセブンイレブンにも並んでいるのを見つけました。が、実は売っていなかったのではなく見落としていたんですね。
 
その理由は陳列場所にありました。
 
自分は商品がペットボトルであることから、冷蔵ケースの中を探していました。しかし、GREENSは日販のチルド飲料の棚に置かれていたのです。
自分はセブンイレブンではチルド飲料の棚を見ず、Familymartではおもしろい飲料が多いためチルド飲料の棚を見ており、偶然発見するに至ったというわけです。
 
↓私がGREENSを見落としていたセブンイレブンでのチルド飲料まわり
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↓私がGREENSを発見したFamilymartチルド飲料まわり

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陳列場所が違うと何が起こるか

どこに並んでいるかで、以下の2つの影響があると思います。
  1. 目的買いの人のイメージと違うと見つけられない
  2. 競合から顧客を奪えない
1については私の体験の通りなので、2について。新商品の購買は「お店に来る前からその商品を知っていて買うパターン」と「店頭で知って買うパターン」の2つに分けられるかと思います。
 
問題になるのは後者のパターンで、もともと買おうとしていた商品と同じ棚いつも見ている棚に並んでいる商品しか目に入らない可能性が高いんですね。
 
「野菜飲料の市場がこれだけあるのでシェアを奪います!」と言っている商品が野菜飲料の近くになかったり、「女性がターゲットです!」と言っている商品が女性のよく見る棚になかったりしたら、果たしてマーケティング企画段階に想定していた市場で戦えるでしょうか。
 
 

陳列場所は誰が決めているのか

正直なところ、詳しくは分かりかねるのですが、学生時代私が働いていたコンビニでは夜シフトのアルバイトが陳列していました。コンビニ内で「新商品は目立つように」とか「ビールはビールでまとめて」等の指示はありましたが、詳細の指示はなかったように思います。
飲料に関して言えば、日販として配送されてきたものはチルド飲料の棚に、ダンボールで配送されたものは冷蔵ケースに入れていました。
店長の元にコンビニの本部から新商品の一覧と商品説明のようなものは届いていましたが、メーカーの方が営業に来ていた記憶は(店舗数を考えれば当然ですが)ありません。
 
ちなみに、ペットボトルタイプの野菜ジュースはコンビニによってチルド飲料の棚に並んでいたり、飲料の冷蔵ケースに並んでいたりと様々でした。
 
KAGOME GREENSは調べてみたところ、賞味期限が16日間とペットボトル飲料にしては短いのでチルド飲料の棚に並んでいるのだと思われます。
 
 

今までに無い新領域の商品です!はどこに並べるのかが難しい

カテゴリーの場所が現在の売り場に無く、このカテゴリーとこのカテゴリーの良いところ取りです!というような商品は陳列場所に悩むと思います。
「競合が発売されたことで市場そのものが伸長した」などという表現を見ることがありますが、「カテゴリーとして売り場が確保されお客さんに認知されやすくなる」という要素を考えると、納得がいくように思います。
 
 

「商品ブランドのマネジメントをきちんとすべき!」?

商品が狙っている市場に合わせて、売り場をデザイン/マネジメントするというのは、理想型ではあるけれどなかなか難しいんじゃないかなぁというのが個人的な見解です。
小売側から見ると、無数の商品の配置を都度都度調整したり、オペレーションを変えたりするのは手間だろうと考えるためです。コンビニに関して言えば、FCも多いですし…。
 
メーカーが催事の際に手伝うレベルの売上が大きなスーパー程度であれば可能かもしれません。
 
そもそも商品企画時の競合とする市場などの情報は、実際に売り場を作る小売の人やエリアの営業の人にどの程度伝わっているのだろう…。
この辺りはあまり詳しく無いので、もし詳しい方がいれば教えて欲しいです。

 

おわりに

以上、商品の陳列場所について考えてみました。よくよく見てみると、ゼリー飲料などお店ごとに陳列場所が違う商品などもありおもしろいです。
 
自分の購買時の導線が決まっている人は、陳列場所の影響で買わない商品もあるのかもしれませんね。